わかっているはずの事を改めて体験することの効果

うちで行っている研修プログラムの一つに「話の聞き方を体験する」というワークがあります。

二人一組で話し手と聞き手に分かれ、聞き手の方が「退屈そうに」「相槌を打ちながら」「熱心に楽しそうに」の3パターンで話を聴くという単純なワークです。

この単純なワーク、なかなか深いんです。

皆さんの予想通り、退屈そうに聞かれるよりも熱心に話を聞かれたほうがモチベーションが上がります。
受講生もそんなことはわかっているのですが、頭で理解しているのと体験するのではやっぱり違うんです。

「やっぱり嫌な態度で聞かれるとむかつきますね!」
「話す気がしなくなってきますね」
感想ではそんな声を聞くことができます。

受講生は現場のリーダーや幹部クラスの方々なので、普段は自分たちのほうが部下の話を聞く立場。
自分たちも昔は上司に話をする時に「こっち向いて話し聞けよ…」「生返事ばかりしやがって…」などと腹の底で思っていたはずなのですが、立場が上になっていくにつれ気がつけば同じような態度になってしまった人も居るようです。

 

いくら頭でわかっていても、実際に体験をしてみてハッとする瞬間があります。
特に立場が上になってくると、わかっているつもりでいつの間にか若手の頃や、現場に居た頃の感覚を忘れてしまっていることがあります。
企業のリーダー研修はそういう昔の感覚を呼び起こしてくれる効果があります。

成功しているGoogleのチームの共通性

ホッテントリに上がっていたこちらの記事の原文を見に行ったらちょっとニュアンスが違っている感じだったのでメモ。

www.lifehacker.jp

元になった記事はこちら。

rework.withgoogle.com

僕は高校の頃、追試の常連になるほど英語が苦手だったのだけど、タイトルからだいぶニュアンスが違いそうと言うのは分かる。
ライフハッカーのタイトルだとGoogleが様々なチームの取り組みについて調査した結果、成功しやすいチームの共通点を発見したようなニュアンスに受け取れるが、元タイトルはあくまでGoogleの社内チームについての発見ということで微妙にニュアンスが違う。
まあ本文ではキチンと社内での調査であることはフォローされているのだけど、個人的にはグレーな訳し方だなと思った。

 

まあそれはいいのだけど、気になったのが共通する5つの特性を並べた順番。
元エントリの方では

 

  1. 心理的安全性:メンバーはチーム内でリスクを取ったり弱点を晒しても大丈夫と感じることが出来る
      ↓
  2. 信頼性:チームメンバーはお互いの仕事を時間的・品質的に信頼している
      ↓
  3. 構造と明快さ:メンバーは明確なルール、計画、目的を持っている
      ↓
  4. 仕事の意味:チームメンバーは仕事内容に重要な意味を感じている
      ↓
  5. 仕事のインパクト:チームメンバーは自分たちの仕事が重要であり、世の中に変化をもたらすと信じている

という矢印のフロー付きの イラストで紹介している。
つまりこの順番も重要な要素であるはずなのだが、ライフハッカーの記事ではなぜか順番を

1. 信頼性

チームメンバーは、基準をクリアする品質の仕事を、決められた時間内に終わらせることができる。

2. 構造と透明性

チームメンバーは、明確な役割、計画、目標を持っている。

3. 意味

チームメンバーは、仕事に個人的な意義を感じている。

4. 影響

チームメンバーは、自分たちの仕事には大きな意味があり、社会全体の利益にプラスの影響を与えると信じている。

そして最後の1つは、特にインパクトがあるものでした。

5. 心理的安全性

 

のように変えている。
全く逆さになっているのであればまだ分からないでもないのだけど…。
確かに原文では、もっとも重要なものは心理的安全性」であると書いているので、この記事を書いた人がそこにフォーカスを当てるためにわざとこのような紹介の仕方をしたのかもしれない。

 

しかし原文の意図は、もっとも重要だからこそ心理的安全性(人としてお互いを信頼できるか)の確保を一番最初に行うべきで、その次に仕事のクオリティ、チームの仕組み、最後に仕事の意味とチームのビジョン、という積み重ね方を提案しているのではないだろうか。

もっとも原文は昨年度に書かれたものらしく、それを上記のような紹介の仕方でこちらの記事が取り上げ、それをライフハッカーが転載ということらしい。

www.inc.com

アメリカでは色々な事情で「心理的安全性」の重要性を求める声が高まってきているので、こういう記事が書かれたのかな、と邪推であります。

介護が理由で辞める社員を減らすために

通っている経営者の勉強会で今日話題になったのが介護離職についてでした。
今回中心となって話してくれた社長さんは、彼自身が現在も父親の介護をしているという状況で、非常に大変な介護の現状を語ってくださいました。
痴呆が進み、目と耳が不自由でありながら体は元気というなかなか厄介な状況で、施設に預ける前は実家に帰る度に家具がひっくり返っていたり、近所の家に入り込んで迷惑をかけたりと、金銭面でも相当な負担がでたそうです。
また、空いている施設が少なく、施設に預ける段階でもあちこち奔走し、預けたら今度は金銭的な負担が大きく…ということで、ここ数年は非常にヘビーな生活を送られていたようです。
曰く
「経営者という立場なので出勤時間などに縛られない状態でも、やっぱりかなりの負担だった。自分が社員だったらと考えるとこれはとてもこなせる自信がない」。

 

実は最近、身の回りでも介護離職という言葉がじわっと増えてきてるなーというのは感じていました。
正直自分の年齢がそういう歳になってきたからかなと思ったのですが、ちょっと調べてみるとやはり介護離職はデータとして増えているようです。
平成24年の総務省「就業構造基本調査」によると、2007年には介護を理由に離職した方は8.85万人だったのですが、2011年には10.11万人にまで増えています。
高齢者は今後も増加をたどるわけですから、介護を理由に離職する社員ももちろん増加していくことでしょう。

 

一方、介護を理由に離職する社員の年齢は40代後半から50代ということですので、企業でももっとも重要なリーダーや幹部クラスが戦線から離脱するということになります。
社員数の多くない中小企業にとって(もちろん大企業にとってもですが)中核メンバーが離職するのは大きな痛手です。
勉強会では、この離職を食い止めるためにはどんなことが出来るかということについて議論が行われました。
もちろん結論が出るわけではありません。
しかしまとめとして、地域の企業同志で社員たちの両親の面倒を見られる施設を経営するようなことが出来るのではないか、そういうことを今のうちからビジョンとして描いておかないと、今現在黒字でも将来的に企業が成り立たなくなるのではないか、というような話になりました。

 

ちなみに冒頭の社長さんの会社では、一人親の介護をしなくてはいけない幹部社員がいらっしゃたそうです。
そこでその社員さんが介護に専念できるように、週2日程度出勤すれば良い別会社を作り、そこの社長に天下りさせたそうです。
「社員はいつまでも現役ではいられない。だから年上の社員から天下れるようにどんどん儲かる会社を作るのがオレの役割なんだ」
と言う事らしいです。
かっこいいですねぇ…。